彼は20代の頃、影で生きながら隠れた才能を秘めつつ、なんとか人生を打破しようともがき、ようやく大手輸入車ディーラーに勤めそこではトップセールスにまで駆け上がった男であった。
初のカタギの仕事である。
ある日、彼は自身の顧客の導きもあり、特に世の女性、人々が求める心の癒しや安らぎに気付く。
それが、人生の転機となった瞬間だった。彼は自分にできることを見つけるべく、輝かしいキャリアを捨て、新たな道を模索することを決断した。
俺にできること、俺にしかできないことがきっとある。
彼は銀座で、当時はまだ無理だと言われた女性専用の男性セラピストによるリラクゼーションサービスを提供するサロンを立ち上げた。最初は戸惑いと疑念に満ちた視線に晒されたが、ヒデはその独自のアプローチで次第に人気を集め、イケメンセラピストとしての名声を築いていった。
10年以上にわたり、彼はサービス向上のために様々な資格を取得し、個性心理学、アロマ検定、整体などを習得。これにより、彼のサロンはただのリラックススポットを超え、心と体を癒す総合的な女性専用サロンとなった。
その一方で、彼はコンサルタント業や持ち前のルックスを活かしモデルとしても活躍する一面を見せ、多くの女性たちに愛され、頼りにされていった。メンズセラピストHIDEのサロンは、彼の独自の経歴や多彩なスキルを反映して、女性たちにとっての特別な場所となり、時折メディアにも取り上げられ、その伝説は感動と共に一部の人に語り継がれていった。
HIDEのサロンでは、女性工学に基づいた独自のアプローチが組み込まれたオリジナルのアロマオイルトリートメントが提供されていた。これはまさに、一度受けると虜になるほどの魅力を秘めていた。
彼の洞察力と経験から生まれたトリートメントは、女性たちが抱える様々なストレスや疲労を解放するエッセンスとなった。特に女性工学を基盤としたエスコート技術や手技は、心身のバランスを整え、自然な美しさを引き出す効果があり女性ホルモンのバランスを整える効果すら期待できるのであった。
トリートメントが始まると、心地よい香りに包まれ、HIDEの繊細で的確な施術が始まる。彼はお客様の個別のニーズや好みに合わせてアロマオイルをブレンドし、その日の気分や体調に寄り添ったトリートメントを提供していた。
女性たちはこのオリジナルのアロマオイルトリートメントに魅了され、一度受けるとその心地良さや癒しの深さに病みつきになってしまうのだった。HIDEのサロンは、その特別なアロマオイルトリートメントにより、女性たちにとって隠れた楽園となり、口コミで評判を呼び起こすこととなった。
メンズセラピストHIDEの才能は単なるセラピストの枠に収まらず、根強いファンやリピーターたちからの信頼が高まり、彼にはエスコートサービスに関するオファーが舞い込んでいた。
彼の魅力的なキャラクターと、施術やコンサルティングにおいて示す的確なアドバイスが、多くの女性たちにとってだけでなく、ビジネスや夜の銀座の社交の場でも注目を集めていた。そのため、HIDEはサロン外でのエスコートサービスにも対応することとなり、その定評は口コミで広がり、依頼が絶えることがなかった。
HIDEはプロフェッショナルなサービスを提供する一方で、お客様とのコミュニケーションにおいても細やかで思いやりのある姿勢を見せ、彼の存在が単なるセラピスト以上の特別なものとしてリピーター客に認識されていた。その結果、エスコートサービスもサロン全体の一環として根強いファンやリピーター様に支持され、HIDEのサロンはより広い層に愛される存在となった。
確かに、HIDEの性格は極めて独特であり、その特異性が彼を他のメンズセラピストと一線を画す存在にしていた。
彼は穏やかで柔和な一面を持ちながらも、同時に独自の視点やユニークなユーモアを備えていた。彼のおおらかでありながらも深い洞察力は、お客様が本当に求めているものを見極め、それに合わせたサービスを提供する力となっていた。
一方で、彼の性格は時折予測不可能で、妙なユーモアや遊び心がサロンの雰囲気を特別なものにしていた。彼がお客様とのコミュニケーションで繰り広げる独自の世界観は、彼のサロンを訪れる人々にとって新しい体験となり、それがまた口コミで広がりを見せていた。
HIDEの独特で魅力的な性格が、彼のサロンをただのリラックススポットを超えた、特別で個性的な場所に変え、彼のファンやリピーターたちにとっては、その独自性こそが魅力の一翼を担っていたのである。
HIDEの魅力は、単に技術だけでなく、まさに彼独自の不思議な力がサロンの空気を変えていた。
彼の手技やセラピストとしてのスキルは確かに優れていたが、それ以上に彼の持つ不思議なオーラやエネルギーが、サロンサービス全体の雰囲気を特別なものにしていた。おそらくそれは、HIDEが持つ洞察力や人間関係のセンスが、ただ施術を提供するだけではなく、お客様との独特なコミュニケーションを築き上げていたからかもしれない。
彼と対面すると、まるで空気が変わるかのような感覚が広がり、リラックス感や心地よさだけでなく、何か特別なものが漂っているような雰囲気が醸し出されていた。この不思議な力が、HIDEのサロンを単なる施術の場ではなく、心と体を癒す特別な場所に変え、多くの女性を引き寄せていたのである。
時が経ち、HIDEは成功に満ちた日々を過ごす中で、少しずつ天狗になっていく一面も見られた。
彼のサロンが人気を博し、成功の喜びや期待に応える自信からか、HIDEは時折自分の力を過信し、周りの意見に対しても耳を傾けにくくなっていった。何事もうまく行く自信からくる、わずかな高慢さが感じられるようになったのだ。
これが一部のファンや周囲からは理解されつつも、一方で一部のお客様や関係者からは、HIDEの新しい一面に戸惑いや失望の声も聞こえてきた。しかし、彼自身は自分の手腕と成功に自信を深め、サロンの成長を優先する姿勢を貫いていた。
天狗になりつつも、彼の特異で魅力的なサロンは依然として多くの人々に支持され、その独自性が彼の成功の礎となっていた。
時間と経験を重ね、HIDEは成功に満ちた生活の中で、自らの存在が社会や世の中に対してもっと意味を持つべきだという強い思いに駆られるようになった。
彼は単なるセラピストとしての枠を超え、自分の力や経験を社会に還元するために何か意義あることを始めることを切望していた。この新たな志向は、彼の成功や個人的な充実感だけでなく、社会貢献や人々の幸福にも寄与するという考え方への変化を示している。
HIDEは自身の経験や専門知識を生かして、他者にも変革や癒しをもたらすことに注力し、人々の生活にポジティブな影響を与えることを目指していた。
HIDEの新たな志向は、単なる成功者から社会的な影響力を持つ人物への変貌を象徴しており、彼の人間性や使命感がさらに広く認識される一方で、彼自身も自分の存在が世の中に対してより意味を持つことに充実感を見出しているのであった。
そしてもっと幅広く世に出ようと考えたHIDEは銀座で自らカフェ営業をするが、自身意外に飽きっぽく銀座住人に惜しまれながらもあっさり閉店する。
単純に毎日決まった時間に出勤するのが嫌になったのだった。
しかしながらそこに有意義な意味を見出すのがこの男のすごいとこでもある。
HIDEが銀座に来て約10年以上の月日を経て遂に世も世紀末、一部の既得権益者達による人身売買に戦争やウイルス。主要メディアにコントロールされる低俗な人間の社会に嫌気がさしたHIDEは自身の力のなさに嘆きながらも少なくとも彼のサロンで関わる女性には何か気づきがあればいいと、
次第に精神世界への没頭が深まり、自らの内面の探求に力を注ぐようになった。
成功や社会貢献への取り組みは続いていたが、同時に彼は物質的な成功だけではなく、精神的な豊かさや心の安定も追い求めるようになった。彼は瞑想やヨガ、精神療法など、さまざまな手法を用いて自己探求に没頭し、深い精神的な理解を追求していった。
この変容は、彼が以前の天狗のような一面を脱し、謙虚で内省的な姿勢を持つようになったことを示していた。彼は自身の精神的な成長が、他者にもより深い癒しや理解を提供できる手助けとなると信じていた。
彼のサロンも、物理的な健康だけでなく、心の安寧や精神的な充実感を求める人々に対する支援を強化し、彼自身が追求した精神世界の深化が、サロンサービス全体にも影響を与えていた。
人生が深化し、精神的な成長が進む中で、彼にとって究極の娯楽となったのは睡眠であった。
彼は日々の忙しさや精神的な探求から得た疲労を癒し、内面の平穏を保つために質の高い睡眠に重点を置くようになった。睡眠は、彼にとって心と体をリセットする時間であり、深い安らぎと癒しをもたらす究極の娯楽となっていた。
驚くべきことに彼は24時間営業を謳いながらも予約のスマホの音をいつもサイレントにしているのである。
HIDE謂く全てはご縁だと言っているのだ。なんとも身勝手ながらどこか納得してしまう。
彼が追求する究極の睡眠は、彼自身の人生観や娯楽の在り方を根本的に変え、新たな生活の質を見出すきっかけとなった。
昨年までは毎晩銀座のBARで酒に女に酔い潰れていた男が2024年を境に180度変わった。
2023年彼は女からも男からもモテすぎて自分が分からなくなっていたのだった。そして、肉体を脱ぎ捨てる究極の奥義、睡眠を極めた。
最近ではリアルな時間よりも夢の中に恋人をつくり、夢の中で欲を存分に満たすなんともエコな人生を謳歌する特技を習得したのだ。
驚くことに、彼の平均睡眠時間は約15時間。ついこの間は地球上の全世界各国の美女と自由に交際するという男の願望を超越する夢を叶える夢を夢と判りつつ楽しむことに成功した。
これは正に神業である。
メンズセラピストHIDE、今後の彼の人生からやはり目が離せない。
